企業法務

バーチャル株主総会について

2020年3月27日、株式会社ガイアックスが日本初のハイブリッド出席型バーチャル株主総会を開催しました。

一般企業でも取り入れやすいWEB会議システム(Zoom)を導入して開催した同社の事例を参考に、ハイブリッド出席型バーチャル株主総会の開催の流れを以下にご紹介します。

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会とは

株主が、オンラインで議決権を行使し、会社法上の「出席」をすることができる株主総会を言います。
バーチャルと言っても、ハイブリッド型の株主総会は、通常の株主総会と同様、物理的に行くことができる特定の場所で、実際に株主総会を開催することが必要です。

通常の株主総会との違いは、株主が株主総会の会場に出向いて出席する方法に加え、自宅など株主総会の会場以外の場所からでも、インターネット等を通じて出席することを許容している点です。

ハイブリッド出席型バーチャル株主総会開催の流れ

1.株主総会の招集の決定(会社法第298条、会社法施行規則第63条)

取締役(取締役会設置会社は、取締役会)は、株主総会の招集を決定します。
この時点ですでに、株主のWEB出席を認めるという方針があるのであれば、この点も併せて決議することが望ましいです。

そのような方針がない場合であっても、株主のWEB出席を認める可能性があるときは、株主総会の招集の決定時に、代表取締役に対して、WEB出席を認める措置をとることについての権限を付与しておくと良いでしょう。

2.招集通知の発信(会社法第299条)

WEB会議の方法による具体的な出席方法(アプリのダウンロード方法やアクセス先、パスワード、質問や議決権行使の方法等)を株主に分かりやすく説明した書面を、株主総会の招集通知に同封するか、招集通知に記載します。

招集通知の記載例

当社は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、WEB会議による株主総会への出席の方法を設けております。株主の皆様には、株主総会へのご来場に代えて、こちらのご利用を推奨いたします。WEB会議の方法による出席の場合におきましても、株主総会の当日に、ご質問及び議決権行使をしていただくことが可能でございます。WEB会議による出席の具体的な方法につきましては、同封の書面をご覧ください。

WEB会議又はご来場の方法により株主総会に出席されない株主の皆様のために、別途、株主総会の様子をライブで動画配信する予定でございますので、そちらのご視聴も是非ご検討ください。

招集通知に同封する株主への説明書例

2021年●月●日開催予定の当社第●回定時株主総会に関するお知らせ

 
当社は、2021年●月●日開催予定の当社第●回定時株主総会(以下、「本総会」)につきまして、本総会をWEB会議ツール「Zoom」を利用してオンラインにて開催することを決定いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。なお、本総会の会場である●●(住所:東京都●●区●●丁目●番●号)にお越しいただいてもご参加は可能ですが、昨今の状況を踏まえてご来場を自粛いただき、オンラインにてご参加くださいますようよろしくお願い申し上げます。

 
1.当社取締役の出席について
当社取締役は、当日本総会会場には来場せず、オンラインにて参加いたします。
2.株主様のご出席について
本総会へオンライン参加をご希望の株主様は、お手元に議決権行使書ならびにWEB会議ツール「Zoom」を利用可能な端末(パソコン、スマートフォン等)をご用意の上、下記の連絡先電話番号までご連絡ください。

■連絡先電話番号
03-●●●●-●●●●

■受付時間
●月●日(月) ●●:00~●●:00
●月●日(金) ●●:00~●●:00

■お願い
上記連絡先への株主様以外のご連絡はお控えください。

3. 株主総会の会場での出席と同等のオンライン環境の確保

WEB出席の株主が、実際の株主総会の会場にて出席している株主と同じように、審議や採決に参加できる環境を整備する必要があります。

4.出席株主の本人確認

実際の株主総会に出席する株主と同様に、WEB出席の株主に対しても本人確認が必要です。

株式会社ガイアックスでは、株主総会開始前に、WEB出席希望株主に専用ダイヤルを案内の上、株主の本人確認を実施(株主番号や住所・氏名確認)し、株主総会当日は、Zoomに入室後、順次、議決権行使書の株主番号を確認する方式をとったようです。

本人確認の方法については法定されていませんが、後日の紛争を防ぐため、慎重に行うことが必要です。

5. 株主総会当日の議決権行使及び採決

WEB出席株主は、会場に出席する株主と同様に、株主総会の当日に議決権を行使します。

WEB出席株主の議決権行使の方法としては、WEB会議の音声機能を利用し、「賛成」「反対」等と発声したり、チャット機能を利用して賛否のメッセージを送ることが考えられます。

新型コロナウィルスによる感染拡大は今後長期化することが予想され、以上のようなハイブリッド型バーチャル株主総会を検討する企業が増えています。

新型コロナウイルスの収束後も、これまでとは異なる新しい生活様式や価値が創造され、社会は変化していくでしょう。
このような時代を生き抜き、会社を存続させ続けるには、積極的に新たな試みを実行してみてはいかがでしょうか。